新型出生前診断で分かる染色体異常症とは?原因について解説!
新型出生前診断でわかる胎児の染色体異常症は、ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトウ症候群などが挙げられます。染色体異常症が起こる原因として、高齢出産であることが挙げられることが多いです。この記事では、新型出生前診断をしてわかる染色体異常症の特徴や、染色体異常症が発症する原因について解説します。
そもそも染色体とは
そもそも染色体とは、何十兆個とあるヒトの細胞の核のなかにあり、父親と母親から受け継ぐ遺伝情報を持った構造体です。ヒトの細胞は、23対46本の染色体を持ち、そのうちの22対44本が常染色体、1対2本が性の決定に関与する性染色体と呼ばれています。この23対は、それぞれが父親と母親から1本ずつ受け継いだペアです。
染色体異常症とは
染色体異常症とは、染色体の数や形が変化して起こる疾患です。染色体異常症には、染色体の数が1本多い、もしくは少ない数的異常と、染色体の一部欠失、重複、位置の入れ替えなどの構造異常があります。たとえば、21番染色体が1本多いときに起こるのがダウン症候群です。
同様に、18番染色体が1本多いときに起こるのがエドワーズ症候群、13番染色体が1本多いときに起きるのがパトウ症候群と呼ばれ、染色体異常症の代表的な例として挙げられます。3つの染色体異常症の特徴を解説します。
ダウン症候群
21番染色体が1本多いときに発症する染色体異常です。かつては蒙古症と呼ばれていましたが、1965年にWHOが最初の報告者であったイギリスのジョン・ラングドン・ダウンの名前にちなんで、ダウン症候群と改めました。
染色体異常症で最も多い疾患で、700人から1,000人にひとりの割合で発症し、日本での出生数は毎年2,200人前後です。2010年から2016年の7年間で、出生率はほぼ横ばいと推察されています。身体的な特徴として、頭や耳が小さく鼻は低め、顔は平坦でつり目、出生時の身長が低く、発達の遅さが挙げられます。
また、心臓や消化器、呼吸器、目の疾患、難聴などの合併症を併発するケースが多いです。その合併症により、ダウン症候群の平均寿命が短い時代もありました。しかし近年の医学の進歩により、ダウン症候群の方の平均寿命も60歳まで上がり、今後も延びていくと予想されています。
エドワーズ症候群
18番染色体が1本多いときに起こる染色体異常です。染色体異常症の中でダウン症候群に次いで2番目に多い疾患で、3,500人から8,500人にひとりの割合で発症します。女児に多い症状で、男児は流産してしまうケースもあります。生まれても1週間以内に半数は死亡し、生後1年まで生存する確率は10パーセント未満といわれています。
身体的特徴として、出生時に低身長がみられ、頭や顎が小さく後頭部は突出、胸骨は短く、手指は重なり、揺り椅子状の足底であることなどが挙げられます。知的障害、心臓、呼吸器、消化器の疾患、悪性腫瘍、難聴などさまざまな先天性疾患を併発していることが多いです。重い合併症を抱えるエドワーズ症候群ですが、ダウン症候群と同様に医学の進歩により平均寿命も延び、中学生や成人まで至るケースが増えています。
パトウ症候群
13番染色体が1本多いときに起こる疾患で、生まれる子どもの5,000人から12,000人にひとりの割合で発症します。身体的特徴には、体や頭が小さく、口唇口蓋裂、頭皮欠損、多指症、難聴などが挙げられます。また心疾患、無呼吸、知的障害などの合併症を抱えていることが多いです。パトウ症候群は、ダウン症候群やエドワーズ症候群に比べ寿命が短く、約80パーセントは生後1か月を前に死亡し、1年以上生存する確率は10パーセント未満です。
染色体異常症が起こる原因
染色体異常症は、高齢出産が原因として挙げられることが多いです。高齢出産とは、35歳以上の初産婦を指します。なぜ、高齢出産が染色体異常症の原因になるかというと、原始卵胞の老化が理由に挙げられます。原始卵胞とは、女性が生まれるときに卵巣に約200万個蓄えている、卵子の細胞となるものです。原始卵胞は、思春期、成熟期と年を重ねるごとに減少し、老化します。老化した原始卵胞は、染色体異常の割合が増加するため、女性の高齢出産はリスクが高まるといわれているのです。
一方、男性は思春期ごろから精子をつくる細胞分裂をはじめ、毎日約5,000万から1億個の精子をつくるため、精子は老化しないといわれてきました。その結果、染色体異常症に男性は関係なく、女性のみに原因があるとされてきたのです。
しかし研究が進み、近年は男性由来の染色体異常症も存在することがわかってきました。男性由来の染色体異常症の詳細はわかっていませんが、女性のみに原因があるとされてきた染色体異常症に、新たな可能性が出たのは医学の大きな進歩といえます。
まとめ
新型出生前診断で胎児のダウン症候群やエドワーズ症候群、パトウ症候群の可能性がわかること、その疾患の特徴、染色体異常症が起こる原因が主に高齢出産にあることを解説しました。日本は少子化傾向のある先進国のなかでも、高齢出産の割合が高い国です。そのため、新型出生前診断を希望する妊婦の数も、近年増加傾向にあります。胎児が染色体異常症だった場合、今後のことを話し合う時間も必要とされるでしょう。いち早く話し合う機会をつくるためにも、新型出生前診断を検討してみてはいかがでしょうか。