海外の新型出生前診断事情!日本より進んでいるってホント?
近年、受診者が増加傾向にある新方出生前診断は、流産や死産のリスクが少なく、精度の高い診断として知られています。診断で調べられる疾患は、ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーの3つ、出産前に染色体異常がわかるため、出産後の対応を考える時間を得られます。当ページでは、海外の新型出生前診断の事情について解説しましょう。
日本の新型出生前診断の受診率は低い?
日本において新型出生前診断(NIPT)は、2013年に導入されました。新型出生前診断は、血液内のDNA断片を分析し、生まれてくる赤ちゃんの染色疾患を調べることができ、陰性的中率が高く、羊水検査などを回避できます。羊水検査は、痛みやリスクをともなうこともあるため、「痛みやリスクを減らす」という観点においては、注目すべき診断方法といえるでしょう。
日本で新型出生前診断を受けた人数は、導入されてから5年間で約5~6万人ほどといわれています。しかし、この数字については信憑性に欠ける部分があります。なぜなら、日本の新型出生前診断は登録する仕組みがないため、正確な実数を掴めていないからです。
そもそも新型出生前診断は、アメリカで開発されてからアメリカをはじめ、フランス、デンマーク、ドイツ、イギリスなど欧米を中心に実施されてきました。その中でも突出しているのが実施率90%以上(2010~2011年)のデンマーク、日本の実施数は5年で5~6万人程度といわれており、近年減少し続けている日本の出生数(2020年は約87万人)から見ても、受診率は低いと考えられます。
高い出生率を誇るフランスの新型出生前診断事情
先進国の中でもフランスの出生率は、高い傾向にあります。近年、出生率の減少傾向が見られますが、厚生労働省が発表した2020年の日本の出生率は1.34%、フランスは依然として1.8%台(2020年時点)を維持していることから、まだまだ高い出生率だということがわかるでしょう。しかしながら、新型出生前診断の受診率が常に高いというわけではありません。フランス国内における新型出生前診断は保険適用外とされているため、高額検査となっており、開始当初に比べると受診率は低い状態です。
フランス以外の先進国の動向は?
フランス以外の先進国の中には、新型出生前診断を積極的に推奨している国もいくつか存在します。
アメリカ
新型出生前診断を開発したアメリカは、国を挙げて新型出生前診断を支援しています。ほとんどの国において保険適用外とされている中、アメリカは保険適用の範囲に含めているようです。
デンマーク
デンマークは、新型出生前診断の初期コンバインド検査(非確定検査)の受診率が高い国です。初期コンバインド検査とは、確定ではなく確率で表示される検査のため、この検査結果を基に確定検査の受診を検討する方もいます。デンマークでは、すべての妊婦さんに対して新型出生前診断の説明をします。
ドイツ
ドイツの場合は、妊婦検診の一つ(オプション)として12~20週の間に検査することが可能、2週間程度で検査結果が届くようです。もともと、ドイツは選択的人工妊娠中絶を禁止している国ですが、法律の解釈の問題もあり、出生前診断陽性時の人工妊娠中絶を選択する妊婦さんは多い傾向にあります。
オーストラリア
オーストラリアについては、すでに周知された検査になっており、保険対象外となっているものの医師がすすめるほどです。受けられるのは妊娠10週からになっており、検査結果は5~7日程度で判明します。
イギリス
イギリスでは国を挙げて母体血清マーカーと胎児超音波検査を組み合わせたテストを推奨、この検査については国民保険で受けられます。新型出生前診断は妊娠10週目から可能、他の国と同様に保険適用外としていますが、受診率は高く80%以上といわれているようです。
診断を受けるか受けないかは個人の自由!
欧米各国の新型出生前診断の実施状況から考えると、日本はまだまだ認知度が低く、受診率も高いとはいえません。他の国の状況を見ると「受けた方がいいのかな?」と考えてしまう方もいると思いますが、実際のところ、受けるか受けないかは自由です。保険適用外ということもあり、新型出生前診断に消極的な方もいれば、前向きに検討する方もいるはずです。
また、前向きに検討している方は、検査結果後についても考えておく必要があります。赤ちゃんの状況を知りたいという気持ち自体は妊婦として当然だと思いますが、検査結果で陽性と出た場合に、どのように受け止めるのかも真剣に考えておくことが大切です。新型出生前診断を受けて、受ける前の気持ちが揺らいでしまう方もいるため、診断の目的や検査結果後を充分考えた上で、検討しましょう。
新型出生前診断は、アメリカをはじめ、フランス、デンマーク、ドイツ、オーストラリア、イギリスなどの先進国で周知されています。このような状況を考えると、日本はまだまだという解釈になりますが、まったく実施されていないわけではありません。今後、新型出生前診断は国内でさらに周知されていく可能性も秘めています。しかし、受けるか受けないかはあくまで個人の自由となるので、家族や医師と相談しながら焦らず検討しましょう。