新型出生前診断と胎児ドックの違い
多くの人にとって赤ちゃんを授かることはとても喜ばしいことですが、無事に産まれてきてくれるか、何か病気を持っていないかなどの不安もあるものです。そのため、安心して出産を迎えるために実際に出生前診断を受ける人も少なくありません。そこで、胎児の様子を知る新型出生前診断と胎児ドックといった検査の内容や違いについて説明します。
新型出生前診断とはどのような検査か
従来から胎児の染色体異常を調べる検査は存在しました。これまでの検査は羊水を採取して、その中に混ざっている胎児の細胞を取り出し培養して染色体異常の有無を検査するもので、お腹に針を刺して羊水を採取します。1980年代になると超音波の技術が進み、胎児の様子が体外から見られるようになり、心臓の働きや脳、骨などの異常がわかるようになってきました。
2020年の現在では、さらに技術が進歩しさまざまな診断法が出てきており、その中に新型出生前診断という方法があります。新型出生前診断は、超高速でDNA解析する機械が登場したことで可能になった検査方法です。母体の血液だけで検査ができるため、母子ともに影響を与えることなく安全にできる点が大きなメリットです。
また万一異常が見つかった場合、両親の選択肢が広がるように妊娠10週ごろから受けられます。近年の新型出生前診断の精度は高く、検査で異常がないという結果が出れば安心して出産に臨めるでしょう。
新型出生前診断でわかることは、21番目の染色体にコピーがあるダウン症と18トリソミーと13トリソミーなどの染色体と性染色体に余分なコピーがある性染色体の異常、加えて染色体の一部が欠損しているディジョージ症候群などの遺伝性の異常です。これらのいずれかが陽性反応が出たときは、確定のために羊水検査を受けることになります。新型出生前診断を受けるための費用は、病院によってさまざまですが、相場は20万円弱です。
胎児ドックとはどのような検査か
胎児ドックとは主に超音波を用いて調べる出生前診断です。発育状況や外見、染色体の異常など胎児の病気にはさまざまありますが、超音波でも染色体異常を調べられます。とくに診断を希望しなくても、超音波検診を受けるときには基本的な異常がないかをチェックしています。ただし、希望すればカウンセリングをしたうえで、もっと詳しく調べてもらえるということです。
胎児ドックを受ける時期は妊娠10週から13週の初期と18週から20週の中期、28週から31週の後期の3回に分けて受けるように推奨されています。初期段階での胎児ドックでは、エコー診断と血縁者に遺伝的な病気を持つ人がいるかどうかのカウンセリングを行います。さらに、頭の形や鼻骨などを調べて胎児の異常をチェックしますが、血清マーカー検査も行う病院もあるようです。
初期段階の検査ではダウン症候群と18トリソミー、13トリソミーの有無を調べます。妊娠中期の診断では、体のむくみや臓器、羊水の量などでチェックし、臓器や口唇口蓋裂など見た目の異常がないかを検査します。初期や中期で先天性の異常が見つからなければ後期で新たに見つかることはほぼありませんが、胎児の体が大きくなってくるので初期や中期ではわかりにくかったことがわかる可能性もあるのです。胎児ドックを受けるための費用は医療機関によっても異なりますが、各回とも2万円から5万円程度となっています。
大阪で検査が受けられるところと選び方
新型出生前診断が受けられる医療機関は大阪にも多数あります。医療機関によって必要な費用や内容が異なり、12万円で受けられるところもあれば20万円程度かかるところもあるようです。検査を受けられる妊婦の年齢を問わないところもあれば、35歳以上の妊婦のみ受け付けているところがあります。
また、認定遺伝カウンセラーが在籍しているところもあればいないところもあり、各医療機関によって異なります。検査を受けたいと申し込んでカウンセリングを受け、その場で血液を採取してくれるところもありますが、別日に予約を取るなど当日検査が可能かどうかも医療機関によって対応が違うようです。万が一、検査結果が陽性だった場合、次に行う羊水検査を同じ医療機関にするのか、ほかを紹介してもらうことになるため、これらの可能性を考慮して医療機関を選びましょう。
胎児ドックの場合はエコーを正確に読み取って判断をしなければなりません。大阪には胎児ドックを確立した医療機関もあり、2017年時点での大阪では3つのクリニックが胎児ドックを行っています。エコーを正確に読みとる知識と実績が豊富な医師が在籍する医療機関で検査を受けるようにしましょう。
新型出生前診断の血液検査で陽性と出たにもかかわらず胎児ドックでは陰性といわれたため、再度血液検査を受けたらやはり陰性だったということも実例としてあるようです。検査結果に不安な人は胎児ドックを受けるのもよいでしょう。
胎児の染色体や遺伝的な異常を不安に思って検査を受ける人は少なくありません。また血液だけで検査ができる新型出生前診断や超音波を用いて検査する胎児ドックなどさまざまな診断方法がありますが、それぞれにメリットデメリットがあります。受ける場合はいくつかの病院を比較してみて、自分に合った検査方法と病院を選ぶことが大切です。