羊水検査は痛みがある?検査を受けるメリットと分かることを解説!
かつて羊水検査が主流でしたが、高齢出産が増えている近年の日本において、その流れは変わってきています。なぜなら、羊水検査よりも新型出生前診断の認知度が高まっているからです。そこで出生前診断として利用されている両検査のメリットと、羊水検査に関する疑問として多い痛みについて解説します。
羊水検査は痛みをともなう検査?
検査手順としては、まずエコーで胎児を確認し検査をしてもよいかチェックします。そのあと注射針を刺すラインに胎盤等が邪魔をしていないか確認し、おへその下に注射して羊水を採取します。採取したあと、再度エコーをして胎児の確認、30分安静にして再度エコーで胎児の確認をして終了です。痛みがある場面はおへその下に注射をして羊水を採取するときですが、痛みの程度は採血と同じ程度といわれています。また麻酔の必要ない検査であることから、痛みは軽度といえるでしょう。
羊水検査を受ける前に知っておくべきこと
羊水検査を受ける前に、それ以外の検査のメリットとデメリットを知っておかなければいけません。羊水検査と、羊水検査のデメリットを補う新型出生前診断について紹介するので、事前に理解しておきましょう。
検査できる妊娠週数が違う
新型出生前診断は、妊娠初期(10週目以降)から検査できます。一方で羊水検査は、15週目以降に検査するようになります。
2つの検査のうち自分のタイミングにあった方を選びましょう。ただし、新型出生前診断は精度の高い検査ですが、陽性であっても出産後必ず染色体異常が起こるわけでないことに注意が必要です。そのため妊娠中に確定診断がほしい場合は、羊水検査を選びましょう。
流産や早産のリスクに差がある
羊水検査は流産や早産リスクのある検査になります。なぜなら、母体のおへそのあたりに注射を刺すため、感染症や出血、あるいは子宮を刺激してしまう可能性があるからです。一方で、新型出生前診断は妊婦の採血をするため、リスクが少ないとされています。確定診断の前に、まずリスクの低い精度の高い検査から始めたい場合は、新型出生前診断がよいでしょう。
検査結果に時間がかかりすぎる
新生児出生前診断は、結果報告まで早ければ1週間ほどで判明します。
それに対して羊水検査は、早くとも3週間は必要です。そのため、結果を待つまでほかの検査を受けられない場合があります。
羊水検査で分かる染色体異常
羊水の中には、染色体に関する情報が多く含まれています。そのため、検査で採取することで、染色体異常の有無を調べることができます。検査で見つけられる染色体異常には次のものがあります。
ダウン症候群
最も多く見られるのは、染色体異常症です。妊婦の年齢が高齢になるほど、発症率が高くなります。知的発達の遅延や運動機能の障害という症状に加えて、特徴的な顔貌を呈しやすいです。
エドワーズ症候群
とくに女児に発生しやすく、手足に特徴的な症状が見られやすい染色体異常症です。妊娠中に母体内でなくなることが珍しくありません。また、無事に生まれても1年以内に亡くなることもあります。
パトー症候群
平均寿命が3〜4ヶ月といわれており、1年以内に9割近くが亡くなってしまう染色体異常症です。心臓疾患や生殖器の異常をはじめ、さまざまな臓器に重度障害を抱えることが多いため、高度な医療ケアが必要になります。
ターナー症候群
女児のみに発症する染色体異常症です。低身長や不妊といった症状が見られます。
トリプルエックス症候群
ほかの染色体異常症よりも高い頻度で、女児に見られる染色体異常症です。身体的所見が少なく、知能や言語発達の遅れを認めることが特徴であり、月経不順や不妊症を発症することもあります。
クラインフェルター症候群
男児に出現する染色体異常症になります。主な症状は女性化乳房や不妊、運動機能低下です。しかし、目に見える症状が発現せず、最後まで気づかない場合もあります。
羊水検査はいつから受けられるのか
検査は、検査に必要な羊水を出せる妊娠15〜18週の間に受けられます。もし、これより前に出生前診断を受けたい場合は、妊娠10週の段階で新型出生前診断による染色体異常性の検査ができます。新型出生前診断であれば、精度が99%と非常に高いことに加えて、母体の採血のみで検査が完了する負担の少ない検査です。しかし、「かもしれない」というような、結果の精度がさほど高くはない点には注意しましょう。
まとめ
羊水検査は、注射針を体に刺すことから痛みが強いというイメージをもたれがちですが、実際には採血程度の痛みといわれています。また、侵襲が少ないため麻酔も必要ありません。検査を受ける最大のメリットは多くの染色体異常性の確定診断ができることです。ただし、検査によっては、流産や早産になる可能性があるというデメリットがあります。一方で、新型出生前診断はスクリーニング検査に留まるものの、妊娠早期に母体へのリスクがなく検査ができます。優先順位は人によって違うため、両方のメリットとデメリットを比較したうえで検査を受けましょう。