新型出生前診断で染色体異常がわかったときの対応
出生前診断とは、お腹の中の赤ちゃんに疾患があるか調べる検査のことです。妊婦健診で行われる超音波検査では、赤ちゃんの形態的な異常がわかりますが、この他に、染色体異常や遺伝子配列の変化などによるものを調べる検査として出生前診断があります。最近では検査方法も増え、母体血清マーカーなどで診断が行えるようになってきました。
新型出生前診断とはどのようなものか
新型出生前診断の検査方法は母体の血液検査です。メリットとしては、少し血を取るだけで検査ができ、流産などのリスクがない点です。母体の血液には、胎児由来の遺伝子が含まれているので、その遺伝子を検査します。
本来、人の染色体は46本あり、2本ずつがペアになっています。そのペアになっている染色体が3本だったり1本だったりすると、染色体異常となります。13番・18番・21番に染色体異常が見つかると、「13トリソミー」・「18トリソミー」・「21トリソミー(ダウン症候群)」の可能性があると診断されます。
新型出生前診断は精度も高く、80~90%の確率で赤ちゃんの先天的異常を発見できます。陰性的中率でいえば、99%の適正率があります。染色体異常なしと陰性の診断された場合、ほぼ先天的異常の可能性はないといえるでしょう。もし異常の可能性があると診断された場合には、分娩の方法を検討したり、出生後の準備ができたりするなど、早期に適切な対応を行えます。
デメリットはこの検査は自費で行わなければならないという点です。だいたいの相場は20万円前後と、かなり高額になります。また、この検査では染色体異常以外の先天性疾患を見つけられません。そのため、出生してから他の疾患が発見されることもあるのです。新型出生前診断以外の診断方法には、非確定検査と確定検査があります。確定検査の的中率はほぼ100%ですが、早産や流産のリスクがあります。
新型出生前診断を受けるためにはどのようにすればいいのか
まずはどの病院で検査を受けるのかを決めなければいけません。大阪においても、さまざまな病院やクリニックが対応しており、中には検査だけを行っている医療施設もあります。施設によっては、受ける方の年齢や胎児の週数によって制限が異なる場合があるため、一番自分に合うところを探すとよいでしょう。インターネットでは大阪だけでなく、首都圏やその他全国の施設を探せます。
受けたい病院を決めたら、予約した上で当日に検査に向かいます。採血検査なので、検査にかかる特別な準備は必要なく、検査の結果はだいたい1週間程度でわかります。
新型出生前診断を行っている施設には「認可施設」と「無認可施設」があります。認可施設の認定の基準は、産婦人科医や小児科医が常駐していることなどさまざまな条件があります。また検査を受ける側においても年齢制限などがあり、条件を満たした場合にしか認可施設での検査を受けられません。
無認可施設の場合は年齢制限などの条件はありません。どちらの施設が適しているか、自分に合うところを調べて見つけましょう。施設選びにおいては、単に検査だけで選ばず、その後のフォローにも注目してみてください。検査の結果が陰性の場合はほぼ問題はありませんが、陽性だった場合は、その後のフォローが整っている施設が必要です。専門家によるフォロー対応があるのか確認しておくとよいでしょう。大阪では、土日の検査が可能なところや認定遺伝カウンセラーが在籍しているところも多くあります。
染色体異常がわかったときの対応
検査結果が陽性であった場合の対応として、新型出生前診断の結果が正しいかどうか確定する検査があります。この確定検査には、主に絨毛検査と羊水検査があります。一般的には羊水検査が選ばれることが多いです。もちろん、先の診断で陽性が出ても確定検査を受けない選択もできます。羊水検査は妊婦さんのお腹に細い針を刺して、羊水を採取して検査します。これには流産や破水などのリスクが伴います。
確定検査は、新型出生前診断と同じ医療施設で受けられる場合や、確定検査の費用を負担してもらえる場合もあります。事前に施設の詳細を確認しておきましょう。そして、認定遺伝カウンセラーなどの専門家が在籍している施設ならば、今後のことを相談できます。確定検査を行う前に、再び陽性が出た場合の対応を検討し、気持ちの整理をする時間が必要です。母親側の心のケアをするためにも専門家の存在は心強いでしょう。
また、染色体異常の可能性がある場合、出産後いろいろなリスクに対応するため、産婦人科・小児科との連携が必要になります。療育サポートやカウセリングなどのサポート体制を探しておくなどの準備が事前にできれば安心です。生まれた時のショックやパニックなどで混乱することなく、喜んで赤ちゃんを迎えられることが理想です。出生前診断でどのような結果になっても、想定外の疾病があったり、トラブルがあったりと、実際には何が起こるかわかりません。検査は100%ではないことをよく理解し、検討した上で検査を受けるか決めましょう。
母体の血液検査で赤ちゃんの遺伝子異常がわかる新型出生前診断は、リスクも低く精度の高い検査です。全国の医療機関や施設でこの検査を受けられ、大阪にもたくさんの施設があります。診断を受けようと考えているのなら、陽性だった場合にどういった対応をとられるのか、どんなサポートがあるのかなど調べることをおすすめします。検査後のフォローも含めて施設を選ぶとよいでしょう。