調べられる内容やリスクが違う!出生前診断の種類とそれぞれの特徴
出生前診断にも種類があり、どの検査を受けたらいいのか迷ってしまうこともあるかもしれません。調べられる内容が異なり、検査によるリスクもあるので検査を選ぶ前にしっかりと特徴を把握しておくことが大切です。今回は出生前診断の種類と、それぞれの特徴について解説していきます。
出生前診断の種類
出生前診断には、超音波を使った画像を検査する比較的簡単な方法と、血液や羊水を採取し染色体疾患に対する検査を行う方法があります。染色体疾患を調べる出生前診断の場合、検査はいくつかあり、大きく分けると「非確定的検査」と「確定的検査」の2つがあります。非確定的検査とは、それのみでは診断がつかない検査であり、確定的検査はそれだけで診断が確定する検査です。
超音波検査
超音波(エコー)で検査し、形態異常を調べます。形態異常とは、奇形、変形、変成、欠損といった病態が含まれる、正常な形態から著しく外れて見える状態をいいます。超音波検査により、ダウン症である可能性を知ることも可能ですが、目視による確認になるため、経験豊富で高い技術を持った医師でなければ判断が難しい場合もあります。
染色体疾患に対する検査
染色体異常を調べる検査で、「数的異常」と「構造異常」を見つけることができます。数的異常の場合、染色体が通常よりも1本以上余分にある場合と、1本欠けている場合があります。また、構造異常は、染色体の一部に異常がある場合で、別の染色体と誤って結合したり、一部が欠けている、あるいは重複していることもあります。
非確定的検査の種類と特徴
非確定的検査は、結果が陽性であっても「確定」されない検査です。検査により染色体疾患が疑われる「陽性」が示されても、必ずしも異常があるとは診断されないわけです。もし非確定検査により陽性の結果が出てしまった場合は、診断を確定させるために羊水検査や絨毛検査(これらはいずれも確定的検査です)を受ける必要があります。羊水検査や絨毛検査は流産や死産のリスクがありますが、非確定的検査の場合は少量の採血や超音波(エコー)のみの検査なので、そのようなリスクはありません。それでは、非確定的検査の種類について見ていきましょう。
新型出生前診断(NIPT)
9~10週以降に行われる検査です。妊婦さんから採血し、その血液中に存在する赤ちゃん由来のDNA断片を解析することで、染色体異常を調べます。他の非確定的検査でも妊婦さんの血液を使った検査が行われますが、もっとも精度が高いのがこの新型出生前診断です。感度は99%で、ダウン症候群と18トリソミー、13トリソミーの可能性を検出することができます。検査から結果が出るまで、1~2週間程度かかります。
コンバインド検査
11~13週に行う検査です。コンバインド検査とは、組み合わせた検査という意味で、超音波検(エコー)と採血を行います。超音波検査でNT(赤ちゃんの首の後ろの厚み)を計測、採血で胎盤由来の2つのタンパク質(2つの血清マーカー)の値を測定し、ダウン症候群と18トリソミーの確率を計算します。感度は83%で、検査から結果が出るまでは2週間程度かかりますが、超音波検査当日の赤ちゃんの姿勢によっては検査ができない可能性もあります。
母体血清マーカー検査
15週~18週に行う検査です。妊婦さんの血液中に含まれる、赤ちゃんや胎盤由来の4つの血清マーカー(4つのタンパク質)を解析し、染色体異常を調べます。感度は80%で、ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形(二分脊椎、無脳症など)などの可能性を調べることができます。検査から結果が出るまで、2週間程度かかります。
確定的検査の種類と特徴
確定的検査は、これだけで診断が確定する検査で感度は100%です。妊婦さんのお腹に針を刺し羊水や絨毛を採取するため、流産や死産のリスクが高くなります。そのため医療機関によっては、まずリスクのない非確定的検査を受けるよう勧められることがあります。確定的検査について詳しく見ていきましょう。
羊水検査
15~16週以降に行う検査です。羊水検査では、妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取します。羊水には赤ちゃん由来の細胞が存在するため、その細胞を培養し染色体の数や形の変化を確認し、異常の有無を調べることができます。羊水を検査することにより、染色体疾患全般を調べることができるのですが、お腹に針を刺すことからリスクも高くなってしまいます。出血や破水、子宮内感染や羊水塞栓症、早産や母体障害などが生じる恐れもあります。約300人に1人の割合で、流産や赤ちゃんが亡くなってしまう可能性があるといわれています。検体採取から結果が出るまでは、2~3週間程度かかります。
絨毛検査
11~14週に行われる検査です。「絨毛」とは将来胎盤となる部分で、これを検査することにより染色体疾患全般を調べることができます。絨毛細胞から染色体の数と形の変化を確認し、異常の有無が確認できます。羊水検査と同様に、妊婦さんのお腹に針を刺して絨毛細胞を採取するため、出血、破水、子宮内感染や早産、母体障害などが生じる可能性があります。また、約100人に1人の割合で流産や赤ちゃんが亡くなる可能性があり、羊水検査よりもリスクが高いといえるでしょう。検体採取から結果が出るまでは、2~3週間程度かかります。
出生前診断には種類がありますが、調べられる内容やリスク、実施期間などもそれぞれ異なります。1度の検査で確実に診断できるのが確定的検査ですが、流産や死産のリスクがあり、非確定的検査にはリスクはありませんが、陽性であってもそれだけで確定にはなりません。新型出生前診断は非確定的検査ですが精度が高く、もちろんリスクがないので、不安がある場合はまずこちらを受けることをおすすします。